非エンジニアPMが1行もコードを書かずに開発する理由
2026/3/12
私は1行もコードを書かない
断言する。私はこのサービスを作るにあたって、1行もコードを書いていない。
HTMLも、JavaScriptも、SQLも。ターミナルにコマンドを打ち込むことすらほとんどない。それでもWebサービスは動いていて、GitHubにはコミット履歴が積み上がっていく。
これは別に自慢でもなければ、開き直りでもない。意図的な選択だ。
正直、最初は懐疑的だった
「AIにコードを書かせる」という話を最初に聞いたとき、私は半信半疑だった。
コードを書けない人間がシステムを作る?どうせ表面的なものしかできないのではないか。エンジニアの仕事をAIが代替するなんて、まだ先の話だろう——そう思っていた。
実際、McKinsey Global Instituteの調査(2023年)によれば、生成AIはソフトウェアエンジニアリング業務の最大45%を自動化できるとされている。だがレポートを読むのと、実際にそれを体感するのは全く別の話だ。
転機は2025年末だった。
確信に変わった3つの瞬間
最初の瞬間は、グランピングの夜だった。
友人たちと泊まりがけで出かけた夜、焚き火を囲みながら誰かが言った。「最近、うちの会社でもClaudeCodeにコード書かせてるんだけど、もうないと仕事が回らないレベルレベルなんだよね」。
その人は大手IT企業の子会社でCOOの友人で、その会社のCEOは元上司だった。「おもしろそうだね」で流せるような話ではなかった。 職人気質なコードを書くことが生きがいだった上司がClaudeCodeは必須だと言っている。 世界は急速に進んでいると実感した。
2つ目の瞬間は、ある経営者の一言だった。
「コードが書けることよりも、何を作るべきかを判断できることの方が、もう価値が高い」
この言葉が頭に刺さった。私がM&AやPMIで10年やってきたのは、まさにその「判断」の仕事だったからだ。
3つ目は、実際に手を動かしたときだった。
試しにWindsurfというエージェント型のAIツールを使って、小さな機能を作ってみた。驚いたのは、「こういう動きをするものを作って」という日本語の指示から、実際に動くコードが数分で出てきたことではない。
それよりも、私が「この設計はおかしくないか」と問いかけると、AIが「ここはこうした方が将来の拡張に対応しやすい」と返してきたことだった。設計の議論ができる。
これは「コードを書いてくれる便利ツール」ではなく、「一緒に考えるパートナー」だと思った。
PMのスキルがAI時代の最強の武器になる
私のキャリアはエンジニアではなく、PMだ。
要件定義、ステークホルダーとの調整、優先順位の判断、リスクの見極め——これらが私の仕事だった。コードは書けないが、「何を作るべきか」「どの順番で」「なぜそれが必要か」を言語化することは得意だ。 IPOを達成し、M&Aを何件もこない、新規事業の立ち上げに携わって培った力が活かせる時...
AIに正確な指示を出すとは、要件定義そのものだ。曖昧な指示からは曖昧なコードしか生まれない。「ユーザーが入力した内容をDBに保存して」ではなく、「認証済みユーザーが送信したテキストを、user_idと紐付けてD1に保存し、保存成功時は200、失敗時は500を返す」と書けるかどうかが、成果物の品質を決める。
これはエンジニアリングのスキルではなく、思考の構造化だ。
なぜ独立を目指すのか
会社員として働きながら、ずっと感じてきた違和感がある。
自分の判断力と経験は、会社という文脈の中でしか活かせていない。同じ判断力を、自分のプロダクトに向けたら何ができるのか——その問いがずっとあった。
AIという道具を手に入れたことで、「実装力がない」という障壁が消えた。残るのは、何を作るかという問いと、それをやりきる意志だけだ。
Satsuki Logicは、その実験場だ。
同じように迷っている人へ
「エンジニアじゃないから、自分にはサービスは作れない」と思っている人に伝えたい。
その前提は、もう古い。
コードを書く能力よりも、何を作るべきかを考え、それを正確に言語化し、動くものを世に出す意志——そちらの方が、今は希少だ。
私はまだ途中だ。サービスはまだ公開前で、独立もこれからだ。でも確実に前に進んでいる。その記録を、ここに残していく。