Webtoon AnalyticsをAIで作りきった話
デモ動画と実装の記録

2026/3/20

AI開発MVPCloudflareデモ動画

前回の記事では、1日で設計と初稿パイプラインを作ったところまで書いた。今回はその続き、実装を完走するまでの話と、完成したデモ動画を公開する。

作品を登録し、タグを設定し、レポート生成ボタンを押す。そこまでが今回のMVPのスコープだ。デモ動画は一部処理をカットしている。

実質2日で完成させた

速さの理由は、AIだけではない。

依頼してきたのは以前一緒に働いたことがある会社だった。業務フローが頭に入っていた。何を困っているか、どう使いたいか、現場の肌感覚がわかっていた。そして向こうも、要件整理から仕様の決定まで、全部こちらに任せてくれた。

通常の開発で時間がかかり、もめる場所はここだ。

「何を作るか」を言語化する作業──要件定義と仕様確認──は、発注側と受注側の認識のズレが積み重なる工程だ。認識合わせのための会議が増え、仕様変更が発生し、見積もりが膨らむ。外部の開発会社が最初に直面する壁でもある。

今回はその工程がほぼ存在しなかった。業務の解像度が最初から高く、決定権も一本化されていた。それだけで、開発の半分は終わっているようなものだった。

一番の難所はWorkers移植だった

想定していた通り、googleapis非対応の問題は手強かった。

Cloudflare Workers環境ではNode.js向けのgoogleapisライブラリが動かない。Google Drive・Google Docsへの書き込みをWorkers上で実現するには、REST APIを直接叩く実装に書き直す必要があった。

ここで取った戦略が結果的に正解だった。

移植作業を最後に分離する。

Workers移植以外の全工程──D1スキーマ適用、4画面のUI実装、パイプライン全体の監査──を先に完走させた。移植だけが唯一の未解決課題になる状態を作ってから、そこに集中した。複数の未解決事項を同時に抱えると、どこが問題かの切り分けが難しくなる。「詰まっている変数を一つにする」という考え方だ。

役割を分けて、連携させた

このプロジェクトで意識したのは、役割の分離だった。

設計・判断・生成、実装、監査──この三つをそれぞれ独立した機能として持たせ、互いに連携させた。三権分立に近い感覚だ。一つの役割が別の領域に踏み込まない。それぞれが自分の責務を果たすことで、全体として精度が上がる。

コードが積み上がるたびに監査を挟み、問題を早期に潰しながら進んだ。細かく監査を入れることで、最終的には移植だけに集中できる状態を作れた。これが一番大きかったと思っている。

通常なら何ヶ月・何百万かかるか

同じものを外部発注したとすると、要件定義・設計・実装・デプロイを含めてエンジニアとPMで2〜3ヶ月、200〜400万円規模になる。

それが実質2日で動いている。

作業していない時間も、どう構造を組むかを考え続けていた。その思考が、手を動かしたときに無駄なく形になった。スピードの源泉は、AIよりも「考える時間を無駄にしなかったこと」だと思っている。

振り返り

「AIで作らせた」というより、「AIをチームに組み込んで運用した」という感覚が近い。要件定義から設計、実装、監査、デプロイまで──それぞれの工程に適切な役割を持たせ、自分はPMとして意思決定と構造設計に集中した。誰が何をするかを明確にすることが、スピードと品質を両立させた。

MVPとして「本当に必要か」を確認するには十分な精度のものができた。次のステップは、実際の顧客に触れてもらうことだ。